鍼灸治療の鍼の種類②
前回に引き続き、鍼の種類をもう少し細かく見ていきましょう。
鍼灸治療院に行ったときに必ず使われる「毫鍼」について説明していきます。
・材質
「金」
柔軟性・弾力性に富み、刺痛がもっとも少なくすることができる。腐食しにくい。
かなり高価で耐久性に劣る。
「銀」
柔軟性・弾力性に富み、刺痛を比較的少なくすることができる。
酸化しやすく、腐食しやすい。耐久性に劣る。
「ステンレス鍼」
金銀に比べると柔軟性・弾力性がない。
鍼の表面に潤滑油(シリコーン油)をコーティングすることで刺入しやすく腐食しにくい。
この3種類です。
金鍼は高価なので使っている治療院はほとんどのないと思います。
銀鍼は以前は多く使われていましたが、鍼の使い回し(同じ鍼を別々の患者さんで使う)が問題になり、使用量は減ってきているように感じています。
現在、一番多く使われているのはステンレス鍼です。
感染の問題により、ディスポーザブル(使い捨て)であることが重要視されているので、安価であるステンレス鍼が使われています。
鍼の値段以外に違うのは鍼の柔らかさです。
金鍼は柔らかく、銀鍼は中くらい、ステンレス鍼は硬いです。
柔らかい鍼の方が切皮(せっぴ:鍼をトントン叩いて皮膚に入れる場面)の時の痛みが少なかったり、鍼の刺激がマイルドになり、受けている方にはありがたいことがたくさんあります。
そのぶん、柔らかい鍼は刺入(鍼を身体に入れる)する時に曲がりやすいので技術が必要です。
同じような鍼に見えますが、鍼にもたくさん製造業者があり、会社によって柔らかさや鍼の柄の形状、鍼の先端の鋭さなどに違いがあります。
・長さ
長さは昔の単位の「寸」が使われています。
寸3 40mm
寸6 50mm
2寸 60mm
3寸 90mm
刺入する部位によって使い分けています。
長い鍼ほど曲がりやすいので扱うのに技術が求められます。
寸3と寸6が多く使われており、2寸と3寸は腰や臀部(おしり)の深い部分に鍼を効かせたい場合に使います。
また、長い鍼は曲がりやすいため、2寸と3寸は3〜5番の太めのはりを使用します。
・太さ
鍼灸の鍼は「番」という単位です。
1番 0.16mm
2番 0.18mm
3番 0.20mm
4番 0.22mm
5番 0.24mm
細い鍼は身体への刺激が小さく、太い鍼は大きくなります。
初めて鍼を受ける方には1番鍼を使い、刺激量を小さくすることで、鍼に対する恐怖心を持たれないように心がけています。
また、最近テレビなどで話題に上がる美容鍼はこれらの鍼よりも細い01番(0.14mm)、02番(0.12mm)が使われています。
鍼灸師はこれらの鍼を使い分け、患者さんの様々な症状に対して治療にあったっています。